理事長挨拶

一般社団法人日本排尿機能学会理事長
舛森 直哉
札幌医科大学泌尿器科学講座 教授
令和6年9月より、日本大学 高橋 悟教授に代わりまして一般社団法人日本排尿機能学会の第11代理事長に就任しました札幌医科大学医学部泌尿器科学講座の舛森 直哉です。新理事長として一言ご挨拶申し上げます。
本学会は、定款に定められている通り、排尿機能に関する研究の発展と進歩を促進し、会員相互の自由な意見、情報の交換、その他関連のある国内・国外学会との幅広い交流を図り、もって学術の発展と国民の健康の増進に寄与することを目的とし、下部尿路機能に関する研究、教育、診療を包括的に司る国内最大の学会として機能しています。小生が大会長として開催させていただいた第29回日本排尿機能学会のサブテーマは「すべての人々の幸せを願って」とさせていただきましたが、まさに本学会は、医療にかかわる方々および未病者を含めた国民すべてのために存在しています。
本学会の前身は、1973年(昭和48年)に発足した神経因性膀胱研究会ですが、2002年(平成14年)には、神経因性膀胱に加えて前立腺肥大症、過活動膀胱、腹圧性尿失禁などにも対象を拡大し、日本排尿機能学会となりました。2014年には「一般社団法人日本排尿機能学会」(英語名:The Japanese Continence Society)となり現在に至っております。2023年(令和5年)には創立50周年を迎え、記念誌の発刊や学会主導大規模疫学調査などの50周年記念事業を行っております。会員数は2024年(令和6年)7月末時点では2,045名となっています。会員構成員も、医師のみならず看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学・作業療法士、基礎研究者など、多種・多様化が進んでいます。本学会は、昨今その重要性が叫ばれているDEI (diversity, equity, inclusion) を先陣を切って実践するための背景を十分に備えていると確信しております。関連学会・研究会とも協力しながら、日常診療における下部尿路機能障害の診療やケアの重要性をこれまで以上に非会員の医療関係者に啓発することによって学会員数のさらなる増加に務め、泌尿器腫瘍・泌尿器内視鏡手術との重複領域にも関心を拡大し、さらには、選挙制度の見直しなども検討して、これまで以上に多様で堅牢な集団を目指していきたいと思います。さらに、今年度は学会ホームページの完全リニューアルを予定しています。内容の充実に加え、学会費納入、会員管理、学会誌へのアクセスが容易になるよう画策しています。
環太平洋禁制学会 (Pan-pacific Continence Society: PPCS) は、日本、韓国、台湾、中国、オーストラリア・ニュージーランド、インドネシアの各国の禁制学会から構成される会であり、これまで毎年持ち回りで年次総会を行い、学問的議論や交流を行ってきました。ワイリー社が発行する「LUTS (Lower Urinary Tract Symptomsの略)」はPPCSのオフィシャルジャーナルですが、この度、「LUTS」を日本排尿機能学会とPPCSの両方の英文のオフィシャルジャーナルとすることが決定されました。和文誌である「日本排尿機能学会誌」とともに、これまで以上に内容の充実を図っていきたいと考えています。
最後になりますが、地震や洪水などの災害時のトイレ問題が現実的にはここ数十年間改善されていないことを報道等で見ますと、非常に心が痛みます。学会の中に災害対策啓発部会を作成し、アカデミックな学会の責務として国民や自治体に対して排泄にかかわる平時の備えなどについて啓発活動を推進することを積極的に考えていきたいと思います。
どうぞ、本学会に対する皆様方のご理解とご支援をお願い申し上げます。
2024年(令和6年)10月2日