理事長挨拶
一般社団法人日本排尿機能学会理事長
三井 貴彦
山梨大学大学院総合研究部 泌尿器科学講座 教授
このたび、一般社団法人日本排尿機能学会の第12代理事長を拝命いたしました。半世紀を超える歴史と伝統を有する本学会の舵取りを担うこととなり、大変光栄であると同時に、その責任の重さに身の引き締まる思いです。就任にあたり、会員の皆様、そして本学会を支えてくださるすべての関係者の皆様に、心よりご挨拶申し上げます。
日本排尿機能学会は、1973年に神経因性膀胱研究会として発足し、その後日本排尿機能学会となり半世紀を超える歴史を歩んでまいりました。その間、対象とする領域は神経因性膀胱から、幅広い下部尿路症状・下部尿路機能障害の分野へ広がり、基礎研究から臨床研究、診断、治療、排泄管理などに至るまで、わが国の下部尿路機能学を牽引する学術団体として発展してまいりました。会員数は2026年7月末時点では2,317名となっています。会員構成員も、医師のみならずメディカルスタッフ、基礎研究者など、多種・多様化が進んでいます。この礎を築かれた諸先輩方のご尽力に、改めて深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
超高齢社会を迎えたわが国ですが、患者さんの生活の質、さらにはご家族や介護者の負担にも大きな影響を及ぼすことから、小児から高齢者まで適切な排泄管理を行うことは、人々が充実した生活を送るうえで極めて重要です。そのため、下部尿路症状・下部尿路機能障害の診療・研究に携わる医師やメディカルスタッフ、基礎研究者で構成される本学会の果たす役割は、今後ますます大きくなるものと考えています。
こうした状況のなかで、私が特に大切にしたいことは、学会として「価値を生み、社会に届けること」、「人を育て、集めること」、そして「つながりを広げること」の3点を今まで以上に強固なものにしていくことと考えています。
「価値を生み、社会に届けること」については、下部尿路症状・下部尿路機能障害に関する基礎研究・臨床研究を一層推進し、新たなエビデンスを国内外へ発信できる学会でありたいと考えています。そのためにも、学会主導研究を積極的に進めたいと考えています。新しい研究が生まれる環境を整えることは、本学会の重要な使命です。わが国から世界の下部尿路機能学をリードする成果が数多く生まれることを期待しています。
「人を育て、集めること」について、次世代を担う人材の育成です。本学会の将来は、次世代を担う若い医療者・研究者が下部尿路症状・下部尿路機能障害の分野に魅力を感じ、積極的に参加できるかどうかにかかっています。若手会員が学術集会や研究活動を通じて互いに刺激を受け、国内外へ羽ばたくことのできる機会を充実させたいと考えています。
「つながりを広げること」について、本学会の大きな特徴である学際性をさらに発展させることが重要です。泌尿器科医のみならず、関連する診療科の医師、メディカルスタッフ、基礎研究者など、多様な専門性を持つ方々が垣根を越えて交流することで、新たな可能性が生まれます。また、他学会とのつながりでは、日本泌尿器科学会など国内の学会との連携をはじめ、韓国、台湾など海外の学会との連携も強固なものにしていきます。さらに、学会で蓄積された知識や成果を実際の診療と社会に還元していくためにも、産学連携、ガイドラインや教育活動の充実、一般市民への啓発や情報発信も本学会が積極的に取り組むべき課題です。
今後は、社会の変化や医学・医療技術の進歩にも柔軟に対応していかなければなりません。デジタル技術やAIの進歩、新しい診断・治療法の登場、医療を取り巻く環境の変化は、下部尿路症状・下部尿路機能障害の診療にも大きな変革をもたらす可能性があります。これらを適切に評価し、患者さんにとって真に有益な形で医療へ取り入れるためにも、本学会が科学的根拠に基づいた方向性を示していくことが重要であると考えます。
これまで本学会を築いてこられた諸先輩方の伝統を大切にしながら、新しい世代、多様な職種、多様な価値観を積極的に取り入れ、皆様とともによりよい学会つくっていきたいと考えています。その実現に向け、微力ではございますが、理事・監事・代議員ならびに会員の皆様と力を合わせ、全力で職責を果たしてまいる所存です。
会員ならびに関係者の皆様におかれましては、本学会のさらなる発展のため、これまで以上のご指導、ご支援、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年(令和8年)9月8日